最高裁判所第三小法廷 昭和24年(れ)897号 判決 1949年7月05日
主文
本件上告を棄却する。
理由
辯護人芳賀貞政の上告趣意第二點について。
論旨は原審公判廷において證據品たるパンツが顕出せられなかったことを攻撃している。しかし原審公判調書には、所論のパンツについて適式な證據調がなされた旨の記載がある。そうして、公判期日における訴訟手續は公判調書のみに依り之れを證明することを得ること、舊刑事訴訟法第六四條の明かに規定するところである。さすれば右の公判調書の記載と異なる事実を主張し、これを前提として原審に審理不盡あり又は原審が豫斷を抱き、被告人の基本的人權の自由を拘束したとの非難をしても、これを採用することはできない。論旨は理由がない。(その他の判決理由は省略する。)
以上の理由により舊刑事訴訟法第四四六條に從い主文の通り判決する。
この判決は裁判官全員一致の意見によるものである。
(裁判長裁判官 長谷川太一郎 裁判官 井上 登 裁判官 島 保 裁判官 河村又介 裁判官 穂積重遠)